商品の色(続き)

前回の続きです。

プロの世界では、例えばデザイナーと印刷会社の間で、モニターの色味と印刷物の色味が同じになるようモニターのキャリブレーションを統一する取り組みも行われています。

しかし一般家庭のモニターでそこまで厳密に調整してあるモニターは皆無です。

なのでネットで注文した品物の色味が思っていた色と違う、というトラブルは避けられないのです。

また色というのは、見る場所によって色が変わるというのはご存じですか?

同じ色の服を着ていても、蛍光灯の下や電球の下、太陽光の下では色が違って見えますよね。特に太陽光は時間帯によって色温度が変わるので厄介です。

色材の三原色は反射光で目に入ってくるので、その光の性質によって色が変わるのは当然なのです。モニターで表現される色は透過光で表現されます。

会社員時代良く耳にしたのが、営業が校正紙を持って得意先に行って戻ってくると「色味が青いのでもう少し赤くと言われた」と現場にクレームを入れる事があります。

現場の責任者が校正紙を確認すると「何処が青いの?」

そこで営業は「??アレアレ??青くないな〜??」

現場責任者「蛍光灯下で見てるでしょ?困るな〜、色評価用の蛍光灯じゃないならせめて太陽光下で見て欲しいよな〜」と言ってみてもクライアントの要求です。

そこで、蛍光灯下で綺麗に見えるように調整するか、あくまで標準の太陽光下で綺麗に見えるように調整するかで揉めたりします。最終的な印刷物は色々な人が色々な条件下で見るのであまり拘りすぎても無駄な努力なのですが…デザイナーさんにも拘りがあるので折り合いが難しいですよね。

お客さんの中には薄い色のサングラスのまま校正紙を見て「この校正、色が暗いね」と感想を述べていたとか…。

なのでネット通販で色を選ぶ場合はある程度の誤差は覚悟すべきですね。そうでなければ色が違うという理由で返品に応じてくれる所を選ぶか。(洋服なんかは返品可能じゃないですか?)

しかしピンクが実際は赤だったって事は無いと思いますが。

商品の色

ネットで物品を購入して良く耳にするのが「色が思っていたのと違う」という事です。

洋服、特に女性用は色がイメージ通りでないと言って返品される方も多いと聞きます。

ネット販売で一番のネックが商品の色です。(カタログによる通信販売も同様ですが)

それはパソコンで見ている色は透過光による「光の三原色」ですが実物の染料やインキは反射光による「色の三原色」だからです。正確には「色材の三原色」

パソコンの発色はご存じのようにR(Red)赤、G(Green)緑、B(Blue)青の3色の透過光によって表されます。この3色が重なると白になります。

ところが実物を手に取ったときは反射光による色の三原色によって色を認識します。

こちらはY(Yellow)黄M(Magenta)赤C(Cyan)青で3色が重なると黒になります。(理論上です、実際は補色として黒(印刷では墨と呼びます)を使用します。)

RGBの赤とYMCの赤は違う色です。YMCのY+Mの色がRGBのRになります。またYMCのMはRGBのR+Bの色になります。

ややこしいですよね。色を重ねると濃くなっていくYMC(加色昆法)と明るくなっていくRGB(減色混法)の関係は図を起こしたので参照して下さい。

要するにモニターの色の出し方と実物の色の見え方は違う方法を用いているので、ピッタリ合う事は希です。

現在のモニターはRGB各色を256階調表現できます。

ですから256×256×256=16777216色の色が表現出来るわけですが、YMCの世界はアナログなので色材の微妙な量の差の掛け合わせで無限の階調が生まれます。極端な言い方をすれば印刷物も1枚1枚微妙に色味が違うはずなのです、ですからパソコンのモニターは無限の階調を1600万色で表しているのです。

乱暴な言い方をすれば、モニターは大体の色味を表現しているだけなのです。

それにモニターの色味が機種によって違うのは家電売り場やパソコン売り場の店頭でご存じの通りです。

TVが良い例ですよね。メーカーによって、展示場所によって色味が違って見えませんか?

話しがややこしくなってきたので続きは次回に