モアレに関して

テレビを見ていて偶に見かけるのがモアレです。

出演者が細かい格子模様の服などを着ていると角度によってモアレという現象が見られる事があります。

我が家のテレビは年代物なのでよく分かりませんが、最新のテレビは解像度も上がり、モアレも画像処理で消せるのでそんなに気にしなくてよいのかもしれませんが…。

それでも電子の目(CCDやCMOS)は規則正しく列んでいるので、細かい格子状の物を撮影する際は物理的にモアレから逃れられません。

デジカメなどは画像処理で対処しているようです。

モアレ現象は電子の目の配列角度と対象物の配列角度との差が30度離れていると起きませんが、それ以下になると徐々にモアレが出てきます。

印刷物の網点もその原理で、墨(黒色、印刷業界では墨と言います)、藍(青色)、赤、の3色の網点配列角度は30度ずつ離れていてモアレが起きないようになっています。(ルーペで印刷物を覗いて見て下さい)

しかし実際の印刷は墨、藍、赤、黄の4色で刷られるのですが、4色を30度ずつずらす事は出来ません。

何故なら30度は120度と同角ですし、60度は150度と同角、90度は0度、180度と同角だからです。

仕方がないので黄色のみ15度ずれた状態、つまりモアレを起こした状態で印刷します。

しかし黄色は人間の目には識別しにくい色なのでモアレを起こしていても分かりません。

黄色とモアレる色の設定は印刷会社によって違う場合もあります。

ですから格子状の画像を印刷する場合その角度によってどれかの色とモアレを起こしますので、モアレが目立たない色との組み合わせが重要になってきます。

しかし最近の印刷ではモアレが起きないFM印刷という印刷方式も現れています。

これはラジオのAM放送FM放送と同じ意味で、従来の印刷方法をAM印刷と呼んで区別しています。

AM印刷とは英語のAmplitude Modulationの略で「振幅変調」印刷と言う事です。

要するに網点(色の点)の大きさの変化によって色を表現する印刷方式です。

AM

 

印刷の標準線数175線の場合ですと50%の網点とは1インチの中に175の印刷の点が色毎に指定された角度で列んでいて、その印刷の点のベタ面積が50%だと言う事です。

一方FM印刷の方は Frequency Modulationの略で「周波数変調」印刷の事です。

FM

FM印刷の色の点の大きさは一定です。ですから50%濃度の所はその網点が沢山集まって濃度を出します。

そしてその網点の配列には規則性が無いのでモアレは起こりません。

しかしまだまだ印刷価格が高いので、新聞に入ってくるようなチラシ等では使われていませんが…。

フィルムがモアレとは無縁なのは受光層の粒子がランダムに塗布されているからなのです。

デジカメも受光素子がランダムに配列されたCCDだとモアレが起きなくなると思いますが、配列がランダムだと当然受光素子の配置は効率的でなくなるので画素数は落ちるでしょうが…。

フィルム時代には起きなかったモアレの問題、デジカメだからこその問題点もあるのですね。

 

画像は「DTP&印刷 スーパーしくみ事典 2005」より転載

印刷品質(2)

印刷品質の続き…

どれだけ違うのか見せて貰うと「う〜ん?比べてみればちょっと赤いかな?」と言う程度の物が大半で単独で見た場合、いつもの色と違うと気が付く消費者は皆無だと思います。

仮に気が付いたとしてもコーポレートカラーの赤味が若干強いので気になるからこのパンフレットの商品を買うのをやめよう…なんて言う人がいるのでしょうか?

消費者にとってコーポレートカラーの色が少々違っていてもどうでも良いわけで、気がつく人も皆無だと思います。そんなことで何万部も刷り直して、無駄な廃棄物を出してCO2をバラまかれたのではたまった物ではない。商品のパンフレットを受け取る側に必要なのはその商品の情報だけです。

紙は半導体のように精密部品ではないのです。極めてアナログな媒体なのです。

日本製のオーバークオリティの最たる物ですね。

何故そんな事で刷り直すのか?

多分、担当者が上司から突っ込まれないように万全を期そうと思っているか、又は単に担当者のこだわりでしょう。

しかしそこには消費者は不在で、自分の自己満足や立場の保全を最優先している…としか思えない現実が垣間見えてしょうがないのですが。

でもさすがに昨今は不況の影響で各社の印刷物にかける予算も減り、値段で印刷会社を選ぶ時代になってきたのでそう言う事も少なくなってきたようですが。安い分あまりワガママも言えなくなってきているようで…。

印刷会社さんも175線オフセットでは値段が取れなくなってきたので、300線やFM印刷(網点の大きさではなく数で濃淡を表す印刷方法)で高品質に向けた差別化をしてきています。

こちらはまだ値崩れしていないようで「良い物が欲しかったらそれなりの値段を払え」が通用しているようです。

何事も差別化ですね。