写真の解像度の独り言(1)

今回は解像度のお話です。

写真プリントや印刷する時にどの程度のデータ量が必要かと言うお話です。

 

解像度は100dpiとかの単位で表します。

dpiはDots /(Per) Inceの事で1インチ当たりのデータ量を表します。

 

1インチは2.54㎝ですから2.54㎝の画素数です。

例えば300dpiの解像度で表される1インチ角の画像は300画素×300画素=90000画素と言う事になります。

 

写真屋さん等でデジカメプリントをお願いする場合1インチあたり9万画素つまり300dpi(Dots /(Per) Ince)の画質があればOKと言う事で、実際その密度で印刷されます。

 

L版は標準的には8.9㎝×12.7㎝ですからそれを1インチの2.54で割ると3.56インチ×5インチとなり、(300dpi×3.56)×(300dpi×5)=1602000pixelとなりますのでL版の総必要画素数は160万画素程度が標準です。

 

一方、印刷は線数によって必要解像度が変わります。

通常は線数の1.5倍〜2倍を要求されます、日本の場合は印刷品質にうるさいので2倍が標準です。

 

150線の場合は300dpi、カラー印刷で最も多い175線の場合は350dpiです。

 

上記の要領で計算するとA4の印刷物で全面画像の場合1200万画素程度の画像ボリュームが必要だという事です。

 

パソコンの表示は光の三原色R(RED),G(GREEN),B(BLUE)ですが、印刷は色の三原色Y(YERROW),M(MAGENTA),C(CYAN)とB(BLACK)の4色で表現されます。

 

印刷物をルーペで覗いてみると分かりますが、網点が規則正しく列でいますよね。

お互いがモアレを起こさない角度で配列されていますが、実は黄色のみモアレが起きています。

 

モアレを起こさない配列は各色の網点角度が30度以上離れている事が必要ですがそうするとモアレを起こさない角度は90度の内3つに限定されます。

 

赤版が45度なら墨版は15度、藍版は75度となり他の色は15度しか離せないので15度モアレが発生します。その色が黄色に割り当てられます。

 

黄色は人間の目には識別しにくい色なのでモアレを起こしていても見る人は気が付きません。

 

まれに特色が加わる場合がありますが画像表現に使用される事は滅多にありません、女性誌の表紙に特色ピンクが使われる程度です。

 

その場合は肌色表現に必要のない墨版の角度を肌色部分のみで使ったりします。

モアレの関係であまり多色は無理なのです。

 

でも最近は網点の大きさで濃度を表現するのではなく、網点の大きさは一定でその密度によって濃度を表現する印刷方法も出てきました。

 

従来の網点の大きさを変える印刷方法をAM方式、網点の集積度を変える印刷方法をFM方式と呼んだりしています。

 

FM方式は網点の並びがランダムなのでモアレが出ません。

特色を何色使ってもモアレの心配が無いので写真の表現方法が変わるかもしれません。

 

プリンターのように8色印刷とか出来ちゃいますね。(まあ、印刷代は跳ね上がりますけど…)

写真の解像度と画素数

皆さんがよく勘違いされるのが解像度と画素数の関係です。

Photoshop等をお使いの方は違いがよくお分かりかと思いますが、一般的には混同される方も多いのが実情です。

 

分かり易く食材にたとえるなら解像度とは食材のg当たりの単価で画素数はパックになって売っている価格ですかね。

単価の場合は2人前だから200g、3人だから300g必要とか、量に応じて料金も高くなります。

一方画素数は量が決まった200gパックとかの食材です。料金は一定ですが二人で食べるには丁度良いかもしれないが3人だとちょっと不足みたいな関係です。(かえって分かり難いですか?)

 

解像度は1インチ当たりのPixel数で画像密度を指します。

一方画素数はその画像の総Pixel数となります。

 

なので解像度を指定する場合はサイズが大きくなるに連れて画素数も増えますが、総画素数は使う画像サイズを想定して指定しますので解像度は上下します。

 

画素数が2000万面素の画像の解像度は幾つになりますかと聞かれても、元の画像サイズが判明しないと解像度は分かりません。

 

例えば35ミリサイズのネガを一般的に印刷に必要な解像度350dpiでスキャンすると総画素数は以下のような計算式で算出します。

 

35㎜のネガフィルムの有効画像サイズが2.4㎝×3.5㎝とすると、計算するにはインチに直さなければならないので、1インチは2.54㎝ですから0.94インチ×1.38インチとなり、解像度が350dpiですから、

(350pixel×0.94インチ)×(350Pixel×1.38インチ)=158907画素となります。

約16万画素の画像ですね。35㎜のフィルムを原寸大で印刷する場合の必要画素数です。

もう分からなくなっちゃいましたか?

 

これを倍の700dpiでスキャンすると縦横とも2倍になりますので面積は4倍にります。

(700×0.94)×(700×1.38)=635628画素となります。

約64万画素ですね。これでやっと2倍拡大の大きさで印刷できる画素数です。約5㎝×7㎝のサイズですね。

 

ですからスキャンする場合はどの位の大きさで印刷又はプリントするか決めたら、そこから総画素数がどの位必要かを決めて、それからスキャンする原稿サイズから解像度を求めます。あくまで印刷する場合ですからね。

 

必要なサイズの画素数は幾つで、プリントに必要な解像度は幾つかのお話は次回にしましょう。