写真の解像度と画素数

皆さんがよく勘違いされるのが解像度と画素数の関係です。

Photoshop等をお使いの方は違いがよくお分かりかと思いますが、一般的には混同される方も多いのが実情です。

 

分かり易く食材にたとえるなら解像度とは食材のg当たりの単価で画素数はパックになって売っている価格ですかね。

単価の場合は2人前だから200g、3人だから300g必要とか、量に応じて料金も高くなります。

一方画素数は量が決まった200gパックとかの食材です。料金は一定ですが二人で食べるには丁度良いかもしれないが3人だとちょっと不足みたいな関係です。(かえって分かり難いですか?)

 

解像度は1インチ当たりのPixel数で画像密度を指します。

一方画素数はその画像の総Pixel数となります。

 

なので解像度を指定する場合はサイズが大きくなるに連れて画素数も増えますが、総画素数は使う画像サイズを想定して指定しますので解像度は上下します。

 

画素数が2000万面素の画像の解像度は幾つになりますかと聞かれても、元の画像サイズが判明しないと解像度は分かりません。

 

例えば35ミリサイズのネガを一般的に印刷に必要な解像度350dpiでスキャンすると総画素数は以下のような計算式で算出します。

 

35㎜のネガフィルムの有効画像サイズが2.4㎝×3.5㎝とすると、計算するにはインチに直さなければならないので、1インチは2.54㎝ですから0.94インチ×1.38インチとなり、解像度が350dpiですから、

(350pixel×0.94インチ)×(350Pixel×1.38インチ)=158907画素となります。

約16万画素の画像ですね。35㎜のフィルムを原寸大で印刷する場合の必要画素数です。

もう分からなくなっちゃいましたか?

 

これを倍の700dpiでスキャンすると縦横とも2倍になりますので面積は4倍にります。

(700×0.94)×(700×1.38)=635628画素となります。

約64万画素ですね。これでやっと2倍拡大の大きさで印刷できる画素数です。約5㎝×7㎝のサイズですね。

 

ですからスキャンする場合はどの位の大きさで印刷又はプリントするか決めたら、そこから総画素数がどの位必要かを決めて、それからスキャンする原稿サイズから解像度を求めます。あくまで印刷する場合ですからね。

 

必要なサイズの画素数は幾つで、プリントに必要な解像度は幾つかのお話は次回にしましょう。

写真の劣化

銀塩写真は物理的・科学的影響を受けやすく管理が難しい資料の一つです。

湿度や温度の大きな変化には敏感に反応します。これはフィルムと印画紙共通の現象です。感光剤のハロゲン化銀をフィルムに塗ったのがフィルムで紙に塗ったのが印画紙です。

特にフィルムは潜像退行と言って感光剤のハロゲン化銀が光によって黒化しても時間と共に元に戻ろうとする性質があるので、写真を撮ってから現像まで時間が空くと黒化が低下した写真になってしまう現象が起きるので撮ったらすぐ現像が基本です。

しかし写真は現像処理されていても常に温度や湿度の変化によって化学変化を起こし続けるので、保存するには温度が18℃で湿度は30〜50%が理想だと言われております。特にカラー写真の場合は2℃が推奨されているのでこれは殆ど冷蔵庫の中ですよね。

また化石燃料を燃やしたときに発生する窒素酸化物やオゾンは写真画像に害を与え、壁に塗った塗料から出た気化ガスや、漂白剤を含んだ洗剤を写真の近くで使用したりするのも画像の劣化をもたらす事が分かっております。

そして写真は光でも劣化するのはご存じかと思います。

特に可視光では青(400〜500nm)のスペクトルと紫外線(300〜400nm)が特に画像の劣化を招き、コダクロームスライドはプロジェクターに10分かけただけで明らかに劣化するそうです。

そうは言われても…。

一般家庭で以上のような条件を考慮して写真を保存している人はいませんよね。

高温多湿の日本は写真保管には適さない気候条件なのは確かなようです。

特にカビは湿度60%温度24〜27℃以上で繁殖しやすくなるので、日本の家庭に保管されている写真やネガにはカビが生えている場合が多いのです。

一旦カビが生えると写真に損傷を与えず除去する事は不可能と言われております。

ご家庭に眠っている銀塩写真はご家族の大切な想い出でもあり、昭和の貴重な記録でもあるのです。

しかし最近のデジタルプリントはインクジェット方式で安定した品質を長期に渡って保持しますので多分40~50年は充分退色しないのではないでしょうか。

何だインクジェットかと言うなかれトーンの数は家庭用プリンターとは比べものにはなりません、高級機となると更にトーンが豊かで銀塩にも負けないほどです。

押し入れの奥にしまい込んだ写真の価値を今一度考えてみませんか?

まだ間に合う内に…。

 

参照資料

日本図書館協会「写真の手入れ、取り扱い、保存」(米国議会図書館資料を国立国会図書館が翻訳)