お客様のネガをお預かりしてデータ化させて頂いて気が付いたのですが、ネガの四隅に黒いテープが貼ってある物が多く見受けられます。
このテープはフィルムのパーフォレーションを塞いでいるのでフィルム送りが出来ず、当然スキャンが出来ません。フラットベッドのようにフィルム送りをしないで光源が動くタイプのスキャナーなら問題ありませんが当店は光源固定でフィルム送りをする透過光タイプなので仕方なく剥がすのですが、これが大変なのです。
フィルムを傷つけないように剥がしても後に糊が残るので、そのままスキャンすると送り歯車やレールに糊が付着してエラーを起こします。
そこでフィルムクリーナーで拭いて糊を取り除きスキャンするのですが、フィルムなので強く擦れないので、これが大変面倒臭く効率がガクンと落ちます。
何でこんな事するのだろうと不思議だったのですが、ネット上での書き込みで判明致しました。
どうやらプリントを依頼された業者が効率良く作業する為、全てのフィルムをテープで繋げて一気にプリント作業を完了させる為だったようです。
まあ、それはそれで作業効率向上の工夫なのでしょう、しかし作業後にそのテープを剥がさずただ切っただけでお客様に返却しているのはプロの仕事でしょうか?
自分たちの都合でお客様から預かったフィルムに手を加え、何の説明も了解も無しにそのまま現状回復せず返却するなんてちょっと考えられません。
再度焼き増しプリントを依頼した時はどうするのでしょう?更にその上からまたテープを貼るのでしょうか?
書き込みを行った方はご自身でネガのデータ化を行っている方で「フィルムにこんな事されているなんて気が付かなかった、頭に来た」と怒っておられました。
幸い私の場合ネガフィルムは殆ど使用せず、自分で現像・焼き付け出来るモノクロフィルムか、カラーの場合はリバーサルフィルムを使っていたので、そのような雑な仕事に遭遇する事はありませんでした。
当時はカメラブームもあり膨大な量のプリント依頼があったと思われます。
効率よく受注を捌くのが最優先だった事が想像されます。
単なる剥がしミスなら「人間のやる事だからミスも起こる」とある程度は納得します、恥ずかしながら私もミスをしてお客様にご迷惑をおかけした事もあります。
大事なのは2度と繰り返さない事、その為の創意工夫が品質を上げていくのです。
しかしミスではなく「どうせ気が付かない」という利用者への甘えから現状回復しなかったのならあきれます。怒りさえ感じます。
現在は写真プリントもデジタルプリントになり現像所も淘汰されて数が少なくなり、怒りの矛先を何処に向ければいいか分かりませんが…。
当時は「儲かれば多少の事はいい」そんな風潮だったのなら悲しい限りです。
今の中国の公害もそんな風潮の証かもしれません。