フィルムの賞味期限

お客様のネガをお預かりしてデータ化する生業を行っている関係上色々なネガフィルムが届きます。

中には未現像のAPSフィルムを送って頂く場合もあります。御本人は現像したつもりだったのでしょう。

APSはカートリッジなので一見では現像済みか未現像か見分けがつきません。

APSの特徴はフィルムを途中で巻き戻して抜いても、またカメラにセットすれば続きから撮影が可能な事です。フィルムに塗られた磁気情報を読んでいるのですね。

カメラ、フィルム業界上げての規格化でフィルムの主流をなす筈でしたが、フィルムの面積が35㎜より小さいのでマニアからは敬遠されたためとデジタルカメラの登場で一世を風靡するほどではなかったのは規格参加企業の当て外れなところでした。

話を戻せば、35ミリフィルムなら現像したフィルムはシートに納められるので分かり易いのですがAPSは現像済みでもカートリッジに入ったままです。

それが勘違いをする要因かも知れません。

見分ける方法もあります。

APSカートリッジの底を除くと1〜4の番号が振ってある小窓があります。4の小窓が白に変わっていたら現像済みで3の所が白になっていたら現在使用中と言うサインです。

また殆どの方は意識されないと思いますがフィルムにも賞味期限があります。買ったフィルムの箱に有効期限が書いてありそれを過ぎると正常な発色は保証されなくなります。

また有効期限内に撮影し終わっても現像に出さないでいると折角光を浴びて黒化した各色層のハロゲン化銀が元に戻ろうとする現象がありこれを潜像退行と呼んでいます。

このように現像されずに不安定なまま保管されていたフィルムはコントラストの落ちた画像になります。

何が写っているのか分からないという程ではないですが、コントラストの強いデジタル画像に慣れた現代ではぼやけた感じに見えるのは致し方ありません。

勿論そのようなフィルムはスキャン時に補正しておりますが色のバランスが崩れたものは別途専用の画像ソフトでの修正が必要になります。

スキャンさせて頂いて感じる事ですがフィルムには幸せしか写っていません。(無論、例外もあります)お子様が生まれて幸せだった時、ご旅行に行かれて幸せだった時、お子様の運動会を一生懸命撮影されていた時、等々…。

幸せが一杯詰まったフィルムです大切にしてください。

記憶が曖昧なAPSフィルムは底を覗いて4番が白くなっているか確認してみるのも良いかもしれません。

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