色々なお客様のネガのデータ化をさせて頂いてつくづく感じるのはネガの傷みは意外と早く来るなとの思いです。
お客様からネガとプリントを一緒にお預かりする場合もありますが、ネガは退色が始まっているのにプリントは退色もせずしっかり発色している事も多々あります。
ネガは退色が進むと画像全体が黄色く色カブリしてきます。またフィルムによってはコントラストが落ちてフラットな色調になり色が出てこないものもあります。フィルムメーカーにより退色の仕方が違うようです。
最近遭遇するのが全体的に赤カブリしているネガです。
比較的新しいネガなのですがスキャンしてみると赤カブリをしていて、撮影時のミスで思い当たる現象は見当たらないし、果たして退色現象なのか、現像時のミスなのかよく分からないものもあります。
一応当店では独自の補正カーブを当てて本来の色調に戻す事を行っておりますが、当初の予想より退色ネガが多いので現在の値段ではコストが見合わなくなってきています。
しかし状況に合わせた補正カーブの蓄積も進み作業の効率化を進めている所です。
こういう独特な発色をする物は最初の画像でトーンカーブを決めるまでが大変なのです。決めてしまえばあとはそのフィルムに関しては流用して微調整で行けるのですが。
コントラストが落ちているだけならレベル補正で簡単にある程度元に戻せますが、それでも微妙な色情報が減っている為、着色写真のような色味になる場合もあります。(色味が生っぽくなる現象ですね)
色補正なのですがお客様から掲載のお許しを頂いた画像で説明致します。
最初の車の写真は黄色く色カブリした画像です。右下が補正カーブを当てた物ですが完全には取りきれていません。
補正後の道路面を見て頂ければ黄色がムラになっているのが分かると思います。
黄色く退色した写真はかなり劣化が進んだネガで、均一に退色せずムラになっている事が多く、スキャン時の補正では取りきれない事が多いのです。
一方お子様の写真は赤カブリしている写真です。髪の毛も赤いですよね。
これの補正が右の画像です。綺麗に赤カブリが取れました。
この段階だと本来の色調を損なうことなくデータ保存出来ますね。この程度だと濼で良いのですが…。
データ化させて頂いて思う事は、ネガには幸せがいっぱい詰まっているという事です。
殆どのネガは楽しい旅行やお子様の誕生、記念行事等でピースサインをしながらの笑顔が沢山写っています。
ネガを引っ張り出して見て下さい、全ての膜面が紫色に見えるようだと退色ネガの可能性大です。
想い出を失う前に早めのデータ化をお進め致します